スティーブン・ホーキング「ビッグ・クエスチョン 人類の難問にこたえよう」感想

ホーキング博士は人類で最も宇宙について知っている人物と言われている。

ALSという筋肉が衰えていく難病と闘いながらも湧き上がる好奇心に従い、病気をハンディキャップと思わせることなく人類に沢山の英知を与えてくれた。

最も偉大な科学者の一人であることに疑念の余地はないだろう。

 

そんな彼が亡くなってから高校の授業でホーキング博士について習う機会があり、先生に言われた一言がいまでも印象に残っている。

 

「彼は最期の論文でAIの危険性について論じた」

 

AIと言えば今世界で最も熱いワードだ。

世界のエンジニアたちはこぞってAIの知能レベルを上げることに専念している。

そして世界からそれにつぎ込まれる資金もマジ半端ない。

理由はいたって簡単でAIの発展が人類の利益となることに世界が疑いを持っていないからだ。

 

ではなぜ、ホーキング博士はそんな素晴らしいAIの”危険性”を人生最期に人類に伝えようと思ったのか。

 

彼は文中で「不幸にして、リスクを回避する方法をわたしたちが身につけなければ、AIは最大かつ最後の出来事になるかもしれない」

と言っている。

これが意味することは、人間を超える知能を持つAIができた場合、自らを加速的に再設計する可能性が出てくるということだ。

人類とAIの意志が対立した時、SF映画みたいなことが本当に起こるかもしれない。

 

AIの開発は人間でいう5歳児のレベルから成長する段階が最も困難と言われていた。

それも5年くらい前の話。5年前、すでに5歳児くらいのレベルだったらしい。

いまどのくらいなんやろ。

AIが世界でビジネスの一環としてめちゃくちゃ注目されている今、たぶんすんごい進化を遂げているのだと思う。

そんな現代を見越したホーキング博士は最期に「人類たちよ、気を付けて制御しなさいよ」って教えてくれたんだと思う。

 

この本を読んで思ったことが一つある。

ホーキング博士をはじめ、世界の現代の偉人たちはある共通のキーワードを意識している、ということだ。

1.インターネット

2.クリーンエネルギー

3.宇宙

 

アマゾンの創設者ジェフ・ベゾス、teslaのイーロンマスク、ソフトバンク孫正義などなど今一番熱い人々は事業で明らかに3つの柱を意識している。

 

私はこの3つの利用の仕方次第で人類の運命を変えられるからだと思っている。

ホーキング博士が人類に残したこんな言葉がある。

 

「地球の惑星の最大の脅威は小惑星の衝突だ。しかしより差し迫った危機としては制御不能になった気候変動だ。このまま加速的に温暖化が進めば地球はとてつもない高温になるだろう。」

 

彼はこの発言からも推測できるように人類は新しい生存の場として宇宙に乗り出すべきだ、と言っている。いずれ地球は人が住めなくなる。

そうなる前に目の前に広がっている宇宙にどれだけ手を伸ばせるか、に人類の運命はかかっている。

 

なぜ、前沢さんが宇宙旅行に行こうとしているのか、イーロンマスクやジェフベゾスが宇宙事業を展開しているのか、彼らは人類の未来を見据えているからだ。

起こるかもわからないような地球の危機をなぜ政府でもない一企業がそこまでしてやっているのか。

理由は簡単だ。政府はそれにつぎ込む優先順位がまだ高くない。

だがつい先日、世界終末時計がこれまでで最も短い”残り100秒”をさした。

あくまで人類が決めた指標に過ぎないが、何も適当に決められた数字ではない。

”分かっている人”はとっくに気が付いているのだ。

 

もう一つ彼が残した言葉で印象に残ったものがある

「人類が実現させるのを最も見てみたいアイデアは、クリーンエネルギーを際限なく供給できる核融合の発電が開発されて、ガソリン車から電気自動車に移り変わるような発明。」

宇宙を専門で研究していた彼がクリーンエネルギーを一番気にかけていたのだ。

宇宙とつながらないような気がするが、私はわかってしまった。

 

彼は宇宙を根幹に置いていたのではない。

人類の未来を第一に考え、誰も気づいていないくらいずっと昔からその先を見据えていたのだ。

人類を救うには宇宙に進出するか、今ある地球を復活させるか、彼は考えていたに違いない。

彼はそんな中インターネット・クリーンエネルギー・宇宙の3つのキーワードの中で自分が一番貢献したい、興味がある分野が”宇宙”だった。今そう思う。

 

彼は私たちのために偉大な発見をたくさんしてくれた。

宇宙の始まりを考えた時点で最初は時間というものすら存在しなかったのだから味まりを考える意味がないこと。

星が重力崩壊したことでできるブラックホールは光の粒子さえ逆らえないような強力な重力が働いているが故、黒く見えること、ブラックホールは一種類じゃないこと。

宇宙は10次元あって私たちは3次元しか見えていないこと。

 

人類がどうやったらこの先も繁栄できるのか、たくさん考えてくれた彼の意志を次は引き継ぐ番だと思う。

もっと多くの人が3つのキーワードに気付き、地球の運命を自らの手で作っていくべきだ。

人類の知能は信じられない速さで加速しているといわれている。

何億年もかけてDNAがゆっくりと進化してきたのに対し、その何億年もの知能の進化はここ数年で起きている。

これは人々が文字を手に入れたこと、本から始まり今ではインターネットを介して情報共有が行われるようになったからだといわれている。

こんな時代だからこそ、今まででは信じられないような出来事がこれから数多く起こっていくと思う。

想像以上に世界は猛スピードで動いている。

この流れに気が付いて、乗るも乗らないも自分自身にかかっていると思う。

今後の時代のキーワードははっきりわかっているのだ。

世界のトップはすでにスタートを切っている。